移民のヨーロッパ史 ドイツ・オーストリア・スイス

2021年9月22日
クラウス・J・バーデ(編) 増谷英樹、穐山洋子、東風谷太一(監訳 )前田直子、藤井欣子、鈴木珠美(訳)
東京外国語大学出版会

内容の紹介

「移動する人々(ヨーロッパ)」の歴史
近代ヨーロッパにおいて、いかに多くの人々が国家の境界線ないし文化的・社会的境界線をこえて移動していたか。移動がもっとも激しかったドイツ・オーストリア・スイスを舞台とする、17世紀から現在までの、移民の歴史についての詳しい分析と記述。近代以降の歴史を網羅的に読み解き、多くの事例を通じてさまざまな移民現象について明らかにする。

監訳者のコメント

東風谷太一(東京外国語大学非常勤講師)
本書は、ドイツの移民史研究者クラウス・J・バーデが中心となって編纂した百科事典『ヨーロッパの移民―17世紀から現在まで』の抄訳です。近年のグローバルな移民・難民問題の脈絡では、ドイツ語圏といえば、経済格差や内戦・迫害あるいは気候危機を背景に故郷を後にした人々を受け入れた、他のEU諸国に比して寛容な地域というイメージを持つ方は少なくないのではないでしょうか。むろんスイス、オーストリア、ドイツの間にも対応の差はありますが、であればこそなお、そのような移民・難民との向き合い方の実態と背景を理解するには、各地域の歴史的経験という視点が欠かせないように思います。本書では、国家の枠組みに加え、ティロールのような境界地域の経験も掬い上げながら、国家・社会と移動する人々との相互関係を概観しています。移民・難民問題に関心があるけど何を読めば/見ればいいの?という方にも手に取りやすいよう、訳者による解説のほか、移民・難民に関する参考文献や映画の紹介も付しました。知的好奇心を満たしつつ、学術研究の入り口にもなる一冊です。

訳者のコメント

藤井欣子(東京外国語大学非常勤講師)
この本は、2005年まで東京外語大で教鞭をとられていたドイツ・オーストリア史およびユダヤ史がご専門の増谷先生と、先生の周囲に集って勉強会を開いていた仲間たちが、ドイツ移民研究の先駆者バーデ教授の編著を翻訳したものです。
この本が翻訳されるきっかけは、先生自身の回想によれば1982年のリンツ会議に遡るそうです。この歴史家の会議が、増谷先生と原書の編著者バーデ教授や労働者運動研究所のシュタイナー所長を引き合わせました。この研究者たちの輪に、前述の勉強会参加者や元ゼミ生などが連なって、本書が生まれました。私も末席に加えていただき、非常に有難かったです。(しかしここで先生に学恩を返せるかと思いきや、逆に加算される始末。)
この本は、これからヨーロッパの移民について学びたいと考える人々の入門書となっています。研究者と研究の輪がさらに広がっていきますように。


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