シリーズ「#SDGs×東京外大」第1回「SDGsクロストーク」

近年、世界中で意識が高まりつつあるSDGs―。SDGsとは、国際社会全体が取り組むべき「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)であり、2030年までの達成に向けて、日本でも企業や自治体、大学などでSDGsの達成に向けた積極的な取り組みが始まっています。その中で、東京外大の学生は、どのような形でSDGsの達成に貢献しているのでしょうか。今回は、東京外大を拠点に活動するサークル等団体「ALPHA(あるふぁ)」、「W-Win(だぶるうぃん)」、「たふえね」に取材をしました。彼らのSDGsに対する思い、そして活動を通じて考えた、SDGsを達成するべく、1人1人に出来ることはどのようなものがあるのでしょうか?

座談会参加者・団体
  • (NGO ALPHA)泉俊作(いずみしゅんさく)さん 国際社会学部 東南アジア地域/ラオス語3年
  • (W-Win)大倉駆(おおくらかける)さん 言語文化学部 ベトナム語2年
  • (たふえね)高橋明花(たかはしはるか)さん 国際日本学部2年
  • (たふえね)石川珠希(いしかわたまき)さん 国際日本学部2年

※以下、それぞれ「」「」「」「」と表記する。

インタビュー
  • 国際社会学部西南ヨーロッパ地域/イタリア語2年 牟田園小桃(むたぞのこもも)さん
記事執筆
  • 言語文化学部英語4年 朝妻亮子(あさづまあきこ)さん

団体紹介

——まずはそれぞれの活動についてお聞かせください。

 私たち学生NGO ALPHAは、フィリピンの農村部への教育支援を行っています。コロナ前はフィリピンの農村部に実際に渡航して、小学校の建設やオリジナルのワークショップ事業を行っていました。設立して今年で10年目ですが、これまで17個の教室を建設してきました。ワークショップ事業は、フィリピンの子供たちが日頃なかなか触れることができないテーマを私たちが伝えるというコンセプトで行っていました。

現在は、コロナ禍により現地の活動が難しいため、国内で出来る事を重点的に取り組んでいます。例えば、フィリピンの現地の先生にオンラインで利用できる教材を提供したり、日本国内の中高生に向けてフィリピンの状況、SDGsについて理解を深めてもらうためのワークショップ事業を行っています。また、現地への支援として、文房具会社さんと協力して、フィリピンの子供たちに文房具を送る支援をしています。

フィリピンでの支援の様子(NGO ALPHA)

 私たちW-Winは、東京外大公認の国際協力サークルとして活動しています。TFTという、“Table For Two” というNGOの東京外国語大学の支部として活動しています。TFTは、発展途上国では飢餓・栄養不足などの問題を抱えている子供が多くいる一方で、先進国では肥満や糖尿病という問題を抱えている人が多くいるため、「食の不均衡」というものを改善しようという目的で設立されました。私たちは、”支援する側・支援される側の両方が笑顔になれる国際協力関係を目指す“という想いで現在の「W-Win」という名前で活動しています。

W-Winの活動内容は主に2点あります。1つ目が大学生協で、“TFTメニュー”というものを販売し、1食につき20円で給食を途上国に届けるという活動です。2つ目の活動は、外語祭とのコラボです。去年今年は残念ながら中止になってしまったのですが、例年であれば料理店とコラボして、“TFTメニュー”を各料理店で提供していただき、その売上の一部を給食の支援に充てるという活動を行っています。

また先日「おにぎりアクション」というTFTが主催する、おにぎりの写真をSNSに投稿することで、給食の支援ができるという活動に参加しました。

おにぎりアクションの様子(W-Win)

 たふえねは、2021年度春学期の、浜島直子(はましまなおこ)先生(千葉商科大学准教授、本学非常勤講師)による「環境・エネルギー問題の動向と展望」を履修していたメンバーと、浜島先生を中心に設立されました。東京外大が「自然エネルギー大学リーグ」に参加しており、大学の消費エネルギーのうち、自然エネルギーや再生可能由来のエネルギー(以下 再エネ)比率を高める努力をしているので、学生として大学全体の省エネや再エネ率を上げるために設立された団体です。具体的には、退出時に照明消灯を呼びかけたり、冷暖房を学生自身が調整、最適化できるような仕組みをつくっていきたいと思っています。また、学内で出来る省エネ・エコ活動の推進・意見募集をおこなったり、エネルギー関連のニュースを中心に、環境問題や気候変動に関する情報を発信していきたいと思っています。現在はまだサークル認定はされていないのですが、来年当たりの認定を目指しています。

省エネを呼びかけるステッカー(たふえね)

 

活動の先にあるSDGs項目は?

——次に、皆さんの活動内容と結び付けられるSDGs項目はどの番号だと思いますか。

 ALPHAの活動に強く結びついているのは、「4番:質の高い教育をみんなに」だと思います。フィリピンには、崩れかかっている教室や1960年代に設立された古い教室もあるので、それらを修復することで子供たちが安心して学べる環境をハード面から支えていきたいと思います。また、先ほどお話した文房具の活動は「1番:貧困をなくそう」に繋がっていると思います。

 W-Winの活動は、発展途上国の子供たちに給食を届けるという目標から、「1番:貧困をなくそう」「2番:飢餓をゼロに」に結び付いていると思います。また、食の不均衡を改善することで「10番:人や国の不平等をなくそう」にも貢献できると考えています。

 実は東京外大は、全国の大学の中では消費エネルギーは少ないほうなのですが、100%自然エネルギーで大学のエネルギーを賄うという目標を持っているため、「7番:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に貢献できると思います。また、たふえねのメンバーは気候変動に並々ならぬ思いを持っている人が多いことや、エネルギーシフトは、気候変動対策にもつながると考えられることから、「13:気候変動に具体的な対策を」のゴールとも結びつけられると思います。

身近なところから始められるSDGs貢献

——先ほど挙げていただいたSDGs項目を達成するために、メンバー1人1人、学生1人1人、社会全体ができることは何だと思いますか。

 まず、私たちのメンバーが一番意識する必要がある点は、「本当に相手のためになっているか、善意の押し付けになっていないか」ということだと思います。私たちがしたいことをするだけでなく、相手はどういうことをしてほしいのか、最終的には私たちの支援がなくても、どのようなことができるかを、それぞれ活動する中で考えることは大切だと思います。

また、同じ地球に暮らしているのに、恵まれている人もいれば困難な状況にある人もいます。日本人は恵まれている側にいる方が多いと思うのですが、そのような人々が自分には関係ないことだと思ってしまうと何も問題は解決しないので、まずは知ることが大切だと思います。その上で、ALPHAの募金に協力していただいたり、他にも古着や本を送るなど、さまざまな支援をされている魅力的な団体もあるので、自分の考えと合う団体を調べて、行動に移していければ良いと思います。

 最近は学食の利用者が多いので、W-Winコラボメニューという形で、その趣旨に賛同してくれる人たちが、買って食べてくれることで、大きな効果が得られると思います。実際に周りの友人でも提供されているメニューを食べて、美味しかったと言ってくれる人もいるので、食を通じてSDGsに貢献をするということも、学生1人1人が簡単にできることだと思います。

 1つ目は、気づいた人が学校でも家でも節電を心掛けるということです。2つ目は、エネルギーや環境に配慮している企業が出している商品を購入するという「消費行動」。3つ目は、再エネや気候変動に関心の強い政党、具体的な政策を打ち出している政党に投票するという「政治行動」も1人1人が出来ることだと思います。

遠い国にも想いを馳せられる社会に

——活動を通じてどのような社会をつくっていきたいですか。

 ALPHAは、日本にいるさまざまな人が、フィリピンの難しい状況で学習を強いられている子供たちに、想いを馳せることのできる社会をつくっていきたいと思っています。私たちは教室の建設費用を街頭募金やクラウドファンディングなどで集めています。日本人1人1人が出来る範囲でアプローチすることで、同じ地球に住む地球市民としてお互いに支え合うことができる社会になれば良いと思います。

支援先のフィリピンの学校で(NGO ALPHA)

 W-Winは貧困や飢餓などで苦しんでいる子供たちが、途上国には沢山いるという意識を広め、途上国でさまざまな悩みや苦しみを抱えている子供たちが少しでも笑顔になれるような社会をつくっていきたいと思っています。また、食堂のメニューを買っていただくことで、我々日本人にも大きなメリットがあることが、この団体の良い点だと思うので、そのような身近なところからアプローチしていきたいです。

ミーティングの様子(W-Win)

「意識が高い」と言われない社会に

——たふえねさん、活動を通じてどのような社会をつくっていきたいですか。

 現在日本では、社会貢献なども経済が重視されていて、環境への意識はまだあまり高まっていないと思います。1人1人が環境と密接に関わっていることに気づいて、環境への意識を高めつつ社会をつくっていきたいと思います。また、小さなことでも1人1人が出来ることはあるので、各々に働きかける事で環境保護を進められる社会にしたいと思います。

 私たちたふえねは設立の経緯として、春学期の「環境とエネルギー」という授業を受けた仲間で集まった経緯があります。ただ、文系の大学のメンバーということで、特に理系の知識に長けている人がいるわけではありません。そのように、特別な知識がない人でも、「意識が高い」というわけではなく、環境について考えることが当たり前なのだという、環境を身近な存在として伝えていけたら良いと思っています。

「教育」×「食」×「環境」=?

——今回インタビューに参加してくださった団体さんとコラボするとしたら、何がしたいですか?

 ワークショップ事業で、W-Winさん・たふえねさんとコラボしたいと考えています。W-Winさんは「食」、たふえねさんは「再エネ」ということで、どちらもフィリピンの子供たちには馴染みがないテーマだと思うので、ぜひワークショップを通じて伝えていきたいです。また、W-Winさんとはフィリピンの子供たちに日本の食べ物や調理法を教えていくなど、楽しい関わり方が出来れば良いと思います。

 「食」に加えて「教育」は、子供たちにとって重要な課題になっていると思いますので、ALPHAさんとコラボすることで、より広くさまざまなところへ支援の輪を広げていきたいです。また、エネルギーは先進国と途上国の間に不均衡があるという点は、私たちの「食の不均衡」にも共通している点だと思うので、たふえねさんと協力することで、不均衡を周知していく啓発活動ができれば良いと思います。

 同じSDGsの目標として、エネルギーや環境の問題と、環境を守ることが教育や貧困の問題につながっていることを意識することで、より具体的な活動を意識できると思うので、ALPHAさんとそのような面でコラボしたいと思っています。また、現在ベジタリアンフードやヴィーガンフードは環境面でも注目されているので、W-Winさんとはそのような面でコラボできたら良いと思っています。

一つの項目から、SDGs全体の達成へ

——最後に、複数のSDGs項目のつながりを感じたことはありますか?

 私たちが強く感じているのは、「4番:質の高い教育をみんなに」と「1番:貧困をなくそう」の繋がりです。十分な教育が受けられない子供たちは、貧困状態になってしまって、貧困の子供たちは十分な教育を受けられないという負のスパイラルをよく耳にします。また、SDGs項目に関しては学校で教えてもらったことも多いため、教育を通じてさまざまなSDGs項目について多くの人に発信できると思います。

 私たちの活動のベースには、飢餓や貧困をなくすことが主にあるのですが、まずはこのような問題をなくすことで、他の項目も達成できると考えています。すべての人が健康で教育を受けられる社会をつくっていくからこそ、それ以外の産業や環境の不平等への意識を広げ、SDGsに対しての活動を活発にできると考えます。

 特に強いつながりは「7番:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と「13番:気候変動に具体的な対策を」。再エネや省エネを進めることで、CO2(二酸化炭素)の排出量を減らして、気候変動を少しでも緩和することができると思います。そして、フィールドそのものを守ることが、飢餓や貧困を防ぐことに繋がっていくのではないかと思っています。

——自分事として考えることが大切ですよね。本日はありがとうございました。

インタビュー後記
東京外大は他大学と比べるとサークルや団体の数が少なく、「SDGsに関する教育や飢餓、環境の問題に興味を持っているけど、どんなサークルがどのような目標を持って活動をしているかわからない」といった学生が多いのではないでしょうか。そのような方に今回インタビューさせていただいた3団体さまの思いを知っていただき、ぜひ東京外大のSDGsに関わる団体さまに注目していただければと思っています。
また、グローバルな問題を自分事として考えるのはとても難しいですよね。今までSDGsに興味が無かったり、どこか「意識の高い人」がやることとして捉えたりしていた方に今回のインタビューを通して、SDGsを身近に、「自分にもできること」として考えるきっかけを作れたら良いなと思います。
牟田園小桃(国際社会学部西南ヨーロッパ地域/イタリア語2年)

編集後記
語学や地域に特化した専門知識を持つ東京外大生は、SDGs達成にどのような形で貢献できるのか、今回は3つの団体さんにインタビューをさせていただきました。各団体さんそれぞれ活動に込める想いやSDGs達成に向けた取り組みをお話ししてくださり、非常に貴重な取材になりました。海外の課題や未来の環境問題に想いを馳せるのは難しいことですが、より良い未来を作るために、今地球に生きる私たちが日々の行動や選択を大切にすることが、重要なのだと実感しました。消費行動や政治行動、一つ一つが「未来への投票」なのだと考えています。今回の記事が一人でも多くの方にとってSDGsについて考え、行動できるきっかけになれば幸いです。
朝妻亮子(言語文化学部英語科4年)

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