2019年2月18日(月)
本学で学ぶロシア人留学生3名が、稲城市立若葉台小学校の国際理解を深める4年生の授業に招かれ、約100人の児童との対話形式で「ロシア」の言葉、地理、食、生活などについて説明するとともに、子どもたちと交流する機会を得ることができました。参加したのは、ダリーナ(極東連邦大学)、ナースチャ(同)、ヤーロ(ロシア人文大学)。
同小学校では、国際保護者交流会 “Bridge International Parents Fellowship” がさまざな活動を展開しており、その一つが Bridge the worldです。各学年ごとに年1回「国際理解の授業」を実施しています。外国に在住経験のある保護者や外国出身の保護者が中心となり、地域にお住いの外国出身者やその国に精通した方をお招きして異文化理解及び交流を継続的に行っています。ここで世界には日本以外にたくさんの国があり、肌や目の色が違い、さまざま歴史や文化的背景を持つ人々が生活していることを、その国の出身者で学校の近郊で生活している方々の口から直接 子どもたちに語ってもらう取り組みを継続的に行っています。最近の例では、トンガ王国についての授業がありました。日本のラグビーチームで活躍するトンガ出身選手の奥様がお越しになり、民族衣装をまとい、トンガ王国の特徴を写真、歌、踊りなどを披露しながら説明したそうです。
昨年の後半から、機会があれば 外大に留学しているロシア人学生を招いて同様のことができないかという打診を受けておりました。たまたま4年生の「国際理解の時間」に空きがあり、今年度中に実施することが決まったのが昨年12月のことでした。ロシア人留学生3名が参加を希望し、彼らと Bridge 関係者を含め何回か打ち合わせをしたうえで実施にこぎつけました。
当日、4年生の4時限目「英語」の時間に「国際理解の授業」を行いました。体育館に4年生全3クラスの児童約100名が集まり、3人の留学生と対面しました。まず、Bridge のメンバーの呼びかけで、子どもたちが留学生たちに Where are you from? と英語で一斉に尋ねるところから始まりました。
それから、ロシア人学生とBridgeのメンバーの皆さんによる打ち合わせを踏まえて作成したパワーポイントを投影しながら、ロシアについて対話形式で子どもたちの学びを促していきました。次のような事柄です。
・ロシア語では、英語のアルファベットより7つ多い33文字が使われていること。全く違う文字や、形は同じだが違う読み方をするものもあること。また、アルファベットの R を反転させたような字とか、Nをひっくり返したような字とか、おもしろい。ひと文字ずつ、ロシア人学生について発音してみよう!
・ロシア語で「こんにちは」「さようなら」「ありがとう」「はい」「いいえ」を、ロシア人学生の発音を真似て言ってみよう!
・ロシアってどんな国? 国土の広さ、気候、民族、食などに注目して説明。
・ロシアは日本より大きそう。日本の何倍? モスクワからウラジオストクまでシベリア鉄道で1週間かかることや、最大で時差が10時間になることをを教え、広大な国土を実感してもらうこと。
・ロシアは寒そうというイメージがあるが、どれだけ寒いのか? 四季があること、夏はそれなりに暑いこと等を説明。
・日本の人口1億2千万と比べてロシアの人口は多いのか少ないのか? 全国土の人口密度は低いが、モスクワに人口が集中していること。
・180もの民族が暮らす多民族国家であること。
・ロシア料理はどんなもの? ピロシキ、ボルシチ、ビーフストロガノフを食べたことがあるかを児童に「ダー」(はい)、ニェット(いいえ)で答えてもらうこと。
・日本と並んでロシアはフィギュアスケートが強い国、みんなロシア人はスケートがうまいの?とロシア人学生に質問。
・週末はダーチャ(セカンドハウス)で過ごすロシア人の生活習慣について説明。
・ロシア極東(日本にちかいところ)には野生のトラがいること。
・最後に、日本で最も有名なロシア民謡の1つ「カチューシャ」をアニメバージョンで聴いてもらうこと。
質問コーナーでは、目を輝かせながら たくさんの子どもたちが手を挙げてくれました。次のような質問がありました。
・ ロシアのお金はなんていいますか?
・ 1ルーブルは何円ぐらいですか?
・ ロシア人はみんなお金持ちなんですか?(週末を自然豊かな郊外のセカンドハウスで過ごすと聞いたせい?)
・ ロシアの人はみんな髪の色は同じなんですか?
・ ロシアに温泉はありますか?
・ ロシアの学校に校歌はありますか?等々
Q&Aコーナーを含め、4時限の時間に収まりきりませんでした。
授業のあとは3人の学生たちが1人ずつ3つのクラスに分かれて給食を一緒に食べることを児童たちに告げると、大きな歓声が上がりました。ロシアの学生達は児童に導かれて教室に行き、日本式給食を堪能しました。児童たちは、食べ終わったあとも学生たちを質問攻めにしていました。4年3組のクラスでは、活発そうな男子児童2人が、日頃から練習しているらしい USAを踊って見せてくれて、大いに盛り上がりました。
最後に、児童たちから「スパシーバ」(ありがとう)、「ダスビダーニヤ」(さようなら)と口々に声をかけられながらイベントは終了しました。多少なりともロシアのことを知り、ロシアとロシア人に親しみをもってもらえたようでした。児童たちと楽しく触れ合い、有意義な時間を過ごした学生たちも満足そうでした。
こうした機会を与えていただいた 若葉台小学校の先生方、Bridgeのみなさまに深く感謝いたします。
ナースチャから届いたロシア語のメッセージ:
翻訳:(今回の訪問は)日本語を使うだけでなく、自分の国について語る素晴らしい機会でした。とても勉強になりました。子どもたちにとっても、世界についての視野が広がることにつながるので、タメになったのではないでしょうか。フレンドリーな雰囲気で、特に給食時間に子どもたちがとても気をつかってくれていました。私個人にとって楽しかったし、子どもたちや保護者の方々と交流できたのはうれしかったです。子どもたちも喜んでくれたかしら。
☆実施概要
・日 時: 2019年2月18日(月)09:30 – 12:30(打ち合わせ・給食での交流含む)
・場 所:東京都稲城市立若葉台小学校 体育館
・受 入:同小学校 Bridgeの皆さん
・交流相手:同小学校4年生全員(3クラス、約100名)
・参加した交換留学生(ロシア):
– ダリーナ Darina Plotnikova (極東連邦大学)
– ナースチャ Anastasiia Boltrumovich(同上)
– ヤーロ Yaroslav Ilyashchenko(ロシア人文大学)
参考資料: Bridge Times Vol.5 (今回の訪問についての記事 – PDF)