サイトアイコン 日露人的交流の飛躍的拡大に貢献するTUFS日露ビジネス人材育成プログラム

オンライン TUFS 日露サマースクール 2021

2021年9月3日(金)
 2021年8月23日にスタートし、2週間にわたって開かれた『TUFS日露サマースクール 2021』が好評のうちに終了しました。昨年と同様、コロナ禍の影響でオンラインで実施され、日露の学生 46名が参加しました。タンデム学習、国際日本学、字幕翻訳ワークショップからなる、盛りだくさんで充実した内容のプログラムだったこともあり、学生たちから高い評価を得ることができました。

プログラム内容

本学およびロシア協定校からの参加状況

(日本側) 以下3大学の学生 23名

本学  19名(履修登録者 10名、履修登録なし 9名)
・神戸市外国語大学  3名
・上智大学  1名
(募集先を他大学にも広げ、本学の学生だけでは定員に足りない部分を補いました)

(ロシア側)以下 ロシア6協定校の学生 23名

・モスクワ国立大学 4名
・モスクワ国立国際関係大学 3名
・ロシア国立人文大学 4名
・国立研究大学 高等経済学院  4名
・サンクトペテルブルク国立大学 4名
・極東連邦大学 4名

講義:INTRODUCTION TO TANDEM LEARNING

 本学博士後期課程でタンデム学習を専門に研究している米国籍のベンジャミン・ラーソンさんが、昨年と同様 初日にタンデム学習の意義や方法論についてレクチャーしました。

タンデム学習の基本原則を説明するベンジャミン・ラーソンさん

 

 

 

 

タンデム学習の構成

1回のタンデム学習を次のように構成しました。
① ロシア語で会話(20分)
② 日本語で会話   (20分)
③ 会話内容をベースに目標言語で作文 (30分)
④ 作文をネィティブスピーカーが添削 (15分)
⑤ 音読し、発音をネィティブスピーカーがチェック・訂正(15分)
⑥ 4~6人からなるグループで自分の作文を音読発表       (15分)
⑦ 作文と録音した音読を Google Form で提出(評価目的)

記念写真(参加者の一部)

(学生の感想)
・日本人が使うロシア語を理解し、ロシア語の複雑さを学ぶことができました。また、日本語で自分を表現することを恥ずかしがらなくなりました。 まだまだ言えないことがたくさんありますが、もっともっと勉強したいという気持ちになりましたし、たくさんの日本の学生と友だちになることができました。(ロシア人学生)
・タンデム学習は外国語を学ぶのにとてもいい方法だと思った。なぜなら、話す、聞く、書く力を同時に向上させることができるし、友達を作ることができて楽しいからだ。質問することを恥ずかしいと思わず、間違いを恐れずに学習できるという点は教室での学びにはない利点だと思う。(日本人学生)


国際日本学

 「国際日本学」を3コマ用意しました。基本的にロシア語で教授します。そのおかげで、ロシアの学生は講義をより正確に理解することができます。一方、本学の学生にとっては、ネィティブが普通のスピードで話すロシア語についていくのは容易ではないものの、学習対象の言語で講義を聴く体験をすることで、自分の現在のヒアリング能力を再確認し、さらに自国のことを説明するために役立つ語彙や言い回しを学習する動機づけとなります。

(1)『イマドキの日本文学』 (2021年8月25日 16:00-17:30)

 講師は、本学博士後期課程で日本文学を研究するのマリア・プロホロワさん。

 概要: ロシアで既に人気の日本人作家は(絶対数は多くないものの)、村上春樹、吉本ばなな、村上龍、鈴木光司らである。村上春樹は、欧米文学や自身の翻訳活動の影響を受けてか文体が欧米寄りなので、日本語学習者の教材としても使われています。日本文学にまつわる注目点は、ロシアに比べて古典崇拝が少ないこと、純文学と大衆文学との境界が曖昧なこと、ロシアの文学は過去と未来に集中するが、日本文学は現在をテーマにした作品が多い傾向があることなどがあります。また日本の読書傾向として、外国文学より国内文学の方が好んで読まれていることが挙げられます。

 レクチャ―するマリア・プロホロワさん

 

 

 

(学生の感想)
・マリアさんから 今まで聞いたことがない作者を紹介してもらいました。(ロシア人学生)

・プレゼンでは私の知らない作家や読んだことのない本が多く取り上げられており、大変興味深かった。特に多和田葉子さんはロシア文学科を卒業し、現在も非常にグローバルな環境で活動されている作家だと知り、彼女の作品を読んでみたいと強く思った。(日本人学生)


(2)
『就業力養成教材動画の視聴』 (2021年8月27日 16:00-17:30)

法政大学が制作した「就業力養成教材動画」3本のうち、どれか1つ以上視聴し、日本において良しとされる働き方について学習し、翌日のタンデム学習でパートナーと話し合いました。それぞれの動画には、本学が作成したロシア語及び日本語字幕が乗せられていることで、語学的にも、日露双方の学生にとって、それぞれビジネスロシア語、ビジネス日本語の学習にも役立ちます。以下が動画タイトルです。

① 「海を渡る夢」(26分)
玩具メーカーに勤める若手社員が海外進出プロジェクトを任せれ、チームワークと市場調査の重要さを思い知る。

 

 

 

 

②「SEが創る未来」(31分)
造り酒屋の製造工程の自動化に取り組む SEが、顧客のニーズをより良く理解したうえでシステム化しないといけないことを学ぶ。

 

 

 

 

③「トドケルチカラ」(16分)
大手航空会社で新規航空貨物路線の開拓に当たり、緻密な調査をベースに採算に合うかどうか等をチームで懸命に取り組む社員たちを描く。

 

 

 

 

(学生の感想)
・日本企業で働く人の特徴や、仕事で使う日本語のフレーズを学びました。また、ビジネスの場での行動も。一般的な大企業でのビジネスの進め方について、新しいことを学びました。(ロシア人学生)

・語学はツールであって、あくまで自分の考えを伝える手段にすぎない。だからまずは相手が求めていることを読み取り、自分の意見を持たなければならない。それは相手が外国人であっても日本人であっても同じだと思った。(日本人学生)


(3)『オンライン東京ツアー: 東京の新旧名所』(2021年8月31日 16:00-17:30)

 ガイド役は JIC旅行センター㈱ インバウンド部 課長のデニス・モロゾフさん。

 概要: モロゾフさんが企画・制作した約40分の動画「東京の新旧名所」と浅草界隈のリアルタイム映像を組み合わせたハイブリッド・オンライン東京ツアー。動画では、モロゾフさんが 日本橋、銀座、竹柴のメズム東京、浜離宮、根津神社、新宿ゴールデン街、SHIBUYA SKY (渋谷)の見どころを軽妙でユーモアあふれる語り口で案内してくれました。

ガイドするデニス・モロゾフさん

 

 

 

 

(学生の感想)
・モロゾフさんのおかげで、前に訪れたことがある場所について新たな発見がありました。ますますまた東京を訪れたくなりました。(ロシア人学生)
・浅草や日本橋などでは日本の江戸時代の暮らしなどが学べて面白かった。東京オリンピックの話や三井の話もあって、東京の中世から現代にいたる歴史をたどっているみたいだった。浜離宮や根津神社のことは初めて聞いたため、日本人にとっても興味深いツアーだと感じた。(日本人学生)


字幕翻訳
昨年に続き、日本映像翻訳アカデミー㈱ (JVTA)が字幕翻訳ワークショップを実施しました。 

(1)『字幕翻訳ワークショップ(露⇒日)』(2021年9月2日 16:00-19:00)

 概要:日本語で字幕を作成する時に守るべき主要な3つのルールとは、「一秒4文字」の文字数制限;「14文字2行以内」;句読点を使わない(句点は全角スペース、読点は半角スペースで代用)。
学生たちは、4~6人ずつのグループに分かれ、2つの映画のワンシーンにつける日本語字幕の翻訳に取り組みました。

(2)『字幕翻訳ワークショップ(日⇒露)』(2021年9月3日 16:00-19:00)

 概要: ロシア語で字幕を作成する時に守るべき主要な6つのルールとは、「一秒15文字」の文字数制限;「40文字2行以内」;「е」だけではなく「ё」も使用;ロシア語の引用符を使用;ロシア人でも分かる「感嘆符・間投詞」は基本的には訳さない;固有名詞はポリワノフ式で行う。
前日同様グループに分かれて、日本のTVドラマとアニメを題材に、ロシア語字幕作成にチャレンジしました。

(学生の感想)
・翻訳する際のルールを知りました。それに加えて、日本人との連携の取り方も学びました。本当に素晴らしかったです。(ロシア人学生)
・映像翻訳とは、ただ映像に付随する音声を翻訳することではなく、その映像を見た時の感動や映像が伝えたいことを損なうことなく伝えるための、言葉の壁を取り除く職業スキルなのだということが分かった。(日本人学生)


(全般的感想)
このサマースクールは、ネイティブスピーカーと話をし、日本についての知識を深める良い機会で、とても面白かったです。(ロシア人学生)
・何よりも日本文学の講義とペアワークが良かったです。日本語のレベルを上げるだけでなく、日本の文化そのものを理解するのにも役立ちました。(ロシア人学生)

・ロシア人学生と一対一で会話する機会はなかなかなかったので、とても有意義な学習になった。一人の学生とはSNSで授業外でもその日の授業の感想などをやりとりしており、交流が広がって良かった。また、学問的な話だけでなく、職業に関するビデオや講義、ワークショップも行われ、就活を控えている私にとっては視野が広がる良い機会となった。 (日本人学生)
・国際日本学の講義では、日本人なのに知らないことも多く、まだまだ勉強が必要だなと思った。講義で聞いた小説の話をタンデムの時にしたりなど、学んだ内容を生かしながらロシア語会話につなげていくことができたし、「日本はこうだけどロシアはどう?」という形で話題を振ることもできたため、非常に有意義であったと思う。 (日本人学生)

以 上

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