『ブラス・クーバスの死後の回想』には、ブラジルの人・文化・社会を理解するための鍵となるある重要な公式が隠されている。このように書くと、何やらあまりに大胆で大げさに聞こえるかもしれないが、私にはその公式が、ブラジルの歴史や社会ばかりでなく、「ジェイチーニョ(jeitinho)」と称されるブラジル人の要領のよい社会遊泳術やブラジルのサッカーのスタイル、そしてカポエイラ(武芸)や音楽やカーニバルなど、ブラジルの代表的な文化事象の特質を見事に解き明かしてくれるように思うのだ。
本書「プロローグ」より
著者紹介
武田千香(たけだ ちか)
東京外国語大学総合国際学研究院教授。ブラジル文学・文化専攻。著書に『ブラジルのポルトガル語入門』(三省堂、2001)、『ことたび ブラジルポルトガル語』(白水社、2002)など。共編著に『現代ポルトガル語辞典』(白水社、2005)など。訳書にJ・アマード『果てなき大地』(新潮社、1996)、シコ・ブアルキ『ブダペスト』(白水社、2006)、パウロ・コエーリョ『ポルトベーロの魔女』(角川書店、2008)、マシャード・ジ・アシス『ブラス・クーバスの死後の回想』(光文社古典新訳文庫、2012)などがある。
評論
『千鳥足の弁証法──マシャード文学から読み解くブラジル世界』
『千鳥足の弁証法──マシャード文学から読み解くブラジル世界』
武田千香著
【ジャンル】
学術書・文学
【版・貢】
四六判・上製・325頁
【ISBN】
978-4-904575-24-6 C0098
【出版年月】
2013年3月15日発売
【付 属】
-
本体価格
2800円(税抜)