「シベリア抑留記録・文化賞」は、シベリア抑留に関する記録・表現活動の奨励のために、2015年に創設されました。
第9回(2023年度)の同賞に、『朝鮮人シベリア抑留 私は日本軍・人民軍・国軍だった』(東京外国語大学出版会刊)が選ばれました。海外受賞者および2作同時受賞は初めてです。
受賞作・受賞者
■金孝淳[著]・渡辺直紀[訳]
『朝鮮人シベリア抑留 私は日本軍・人民軍・国軍だった』
東京外国語大学出版会、2023年2月刊
■井手裕彦[著]
『命の嘆願書 モンゴル・シベリア抑留日本人の知られざる物語を追って』
集広舎、2023年8月刊
■特別賞
映画『ラーゲリより愛を込めて』制作委員会
■功労賞
吉田鉄哉氏:抑留体験者で語り部を続け、遺骨収集を訴えている
2023年11月28日には受賞者を迎えて贈呈式が開かれました。
韓国在住の著者、金孝淳氏からは書面でメッセージが寄せられました。
拙著の日本語版〈朝鮮人シベリア抑留〉の出版も、シベリア抑留記録文化賞の受賞も、私にとって正にいい意味での想定外の連続でした。15年前ごろに原稿を書き始めたとき、これがいつか日本の読者に読まれるだろうという思いは全くありませんでした。
亡くなられた朝鮮人シベリア抑留者たちのご霊前に公営のニュースを謹んで報告したいと思います。個人的にちょっとほっとしているのは、抑留者たちと人生の最後の段階で何とかインタビューができたことです。もし取材の時期が2~3年ほど遅れたら本にはまとめることはできなかったはずです。
訳者の渡辺直紀先生(武蔵大学教授、東京外国語大学非常勤講師)も、受賞者挨拶と贈呈式後の講演会で、受賞の喜びや、原書・訳書が刊行された意義などが語られました。
第9回「シベリア抑留記録・文化賞」の受賞の挨拶をする渡辺直紀先生