フクシマへの帰郷

2021年4月7日
アドルフ・ムシュク(著)野口薫、美濃部遊、エヴァ・ビリック(訳)
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内容の紹介

ドイツ人の建築家パウル・ノイハウスは、古くからの友人のケンイチと妻ミツコからの招待に応じて日本を訪ねる。福島第一から40キロ離れたある村の村長で、ミツコが小父さんと呼ぶセイゾー・イリエが、ノイハウスに彼を訪ねるように頼んでいたのだ。エリアは汚染され、住民は離村を余儀なくされていたが、一年後、政府は、除染された村に住民がもどることを望む。しかし人々は恐れている。村長はここに芸術村を作って新しい希望を目覚めさせるために、ノイハウスを得たいと考えている。ノイハウスはミツコと一緒に福島に旅をする。そして二人は逆らい難く惹かれ合う。パウルとミツコの恋の未来だけでなく、汚染された福島の美しい未来も可能であろうか?

訳者のコメント

エヴァ・ビリック(世界言語社会教育センター/特任講師)
原作者アドルフ・ムシュクは一九三四年生まれのスイス人作家。様々な大きな文学賞を多数受賞しているスイス文壇大御所であるばかりでなく、原子力発電、環境問題、ECの在り方など政治的社会的問題に関する見識と発言力においてドイツ語圏のみならずヨーロッパ知識人を代表する一人である。(…)
福島の光景・情景をズームアップして描く一方、作者はあえてそこから遠ざかり、ズームアウトして、2011年3月に日本の福島に起こった原子力発電所爆発災害を遥かな地点から眺め、文明史的に考察しようとするようとする。核を分裂させてそのエネルギーを解き放つことを始めてしまった人類が辿らなければならなくなったことの帰結である。

この小説が問題にしているのはしかしフクシマだけではない。読者は一見、何のことやら、と思うパッセージにも考えてみたくなる問題を多く見出すと思う。


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