美しい音色をあなたへ~クラシックギターに魅了されて~:高田英里佳さんインタビュー

クラシックギターの演奏を聴いたことはありますか。クラシックギターが持つナイロン製の弦はその柔らかさから、優しく美しい音色を奏でます。本学学生の高田 英里佳(たかだ えりか)さん(言語文化学部スペイン語4年)は、幼い頃からクラシックギターに触れ、本学入学後、よりいっそうその魅力に惹かれていきました。
高田さんは2021年4月25日(日)、江戸川区東武フレンドホールにおいて開催されたクラシックギターの国際大会「第11回バッハ国際ギターコンクール」にて、見事優勝を収めました。
クラシックギターをはじめた経緯や、本学での学びがどのように生かされているのか、高田さんにインタビューしました。

インタビュー・取材担当:国際社会学部イベリア地域3年・高橋さくらさん(広報マネジメント・オフィス学生取材班)

左:高田さん 右:高橋さん

今回の大会について

——まずは大会優勝おめでとうございます!率直な感想を教えてください。

ありがとうございます。まさか優勝できるとは思っていなかったので、賞を頂けたこと、大変嬉しく思います。

——本学のトピックス・ニュースで演奏中の様子を拝見したのですが、凛とした笑顔で堂々と演奏されていましたよね。

実をいうと私はかなりのあがり症で、笑顔でいないと緊張で手が震えて演奏できないのです。なので、まずは表情から作って気持ちを奮い立たせています。

——今回の大会ではどういった審査があったのでしょうか。

まず1次予選審査は音源審査により行われました。1次審査を通過した人が、本選当日の2次予選に進むことができます。さらにそこで勝ち上がった8名が本選に出場する、といった流れでした。私は2次予選で落ちるだろうと思っていたので、本選の練習もせずに楽屋でボーっとしていました(笑)。

——それで本選に出場して、さらに優勝までしてしまうとは、日々の練習の成果が発揮できたということではないでしょうか。
これまでに他の大会に出場したことはありますか。

はい。初めて大会に出場したのは2年前、ちょうど20歳の時でした。その時出場したのが、日本で開催された「スペイン音楽国際コンクール」で、実はそこでも優勝(1位不在の2位)させていただきました。

——コンクールデビューの結果が優勝とは素晴らしいですね。これからもさまざまな大会で入賞される高田さんの姿が目に浮かびます。

クラシックギターを始めたきっかけについて

——クラシックギターはいつ、どのようなきっかけで始めたのでしょうか。

10歳の頃、クラシックギタリストの父の影響で始めました。父がやっているギター教室の生徒として練習していたのですが、自分から始めたわけではないので練習はサボりがちでした(笑)。本気で練習を始めたのは大学入学後の20歳の頃でした。

茨城県ひたちなか市で行われた初めてのソロコンサートにて(2020年11月)

——それで大会で二度も優勝されるのは凄いですね。ほかに誰か影響を受けた方はいますか。

音楽評論家の故・濱田滋郎先生は、私が尊敬している人の一人です。以前東京外大で教鞭をとっていた先生で、実は私の出身高校(都立日比谷高校)に通われていたことがあります。彼はスペインや中南米のさまざまな音楽や文化に精通していて、独学でスペイン語を勉強されたのだとか。スペイン語の本もたくさん翻訳されています。
実は最初に出場したスペイン音楽国際コンクールの会場にいらしていて、私の演奏も聴いてくれていたのです。是非もう一度演奏を聴いてほしいと思っていたのですが、残念ながら今年の3月にご逝去されてしまいました。

——それは残念でしたね。きっと天国から聴いていらっしゃったと思います。

本学での学び、活動について

——本学のスペイン語専攻を選ばれた理由は何ですか。

両親ともに南米のボリビアに住んでいたことがあって、スペイン語が話せる両親に勧められて東京外大を選びました。親からの勧めで入学しましたが、ギターを本格的に始めてからは、やはりスペイン語を勉強しておいてよかったと思うことが増えました。

——本学の授業で印象に残っているものはありますか。

宗教や哲学について興味があるので、特に必要がない単位であってもよく履修しています。そのほかにも、ギリシャ語、ヘブライ語、セルビア・クロアチア語などさまざまな言語を勉強しました。東京外大ならではの言語の授業を取りたくて挑戦してみましたが、どれも難しかったです。やはり専攻言語のスペイン語の響きが私は一番好きですね。

——せっかく東京外大に入学したのだから、さまざまな言語を学びたくなりますよね。私も昨年バスク語を勉強しました。所属しているゼミについても教えていただけますか。

ラテンアメリカ文学を専門とされている久野量一准教授のゼミに所属しています。最近は卒業論文の執筆作業があって慌ただしい日々を送っています。卒業研究のテーマは、キューバの作曲家兼クラシックギタリストのレオ・ブローウェル (Leo Brouwer) です。ちょうど父がキューバで発行された彼に関する本(『Gajes del oficio』イサベル・エルナンデス編)を持っていたので、その翻訳を卒業論文として提出しようと考えています。アルゼンチンのタンゴ作曲家兼バンドネオン奏者のアストル・ピアソラ (Astor Piazzolla) について調べることも検討しましたが、最終的にレオ・ブローウェルを選びました。

——卒業論文の執筆は大変だと思いますが、興味分野について調べられるのは楽しいだろうなと思います。サークルには入っていますか?

今は入っていないのですが、1年生の時は古典ギター部に所属していました。2年生からは、ギターを本格的に練習するのが忙しくなりやめてしまいました。実は古典ギター部はコロナ禍の影響で部員がなかなか集まらないようなので、興味のある方はぜひ見学に行ってみてください。
(部活・サークル特集2021<文化系編>での紹介はこちら

普段の練習について

——普段はどこで練習されているのでしょうか。

専ら自宅の自室にこもって練習していますね。月3回ほど父の教室でレッスンも受けています。日々の練習は特にノルマを決めているわけではないですが、最近は一日5時間程度練習していると思います。コロナ禍で外に出る機会も減りましたしね。一人で練習していることが多いので、追い詰められて「私は何で生きているのだろう…」と考えてしまうことも多々あります。そんな時、最近は哲学に助けを求めています。キルケゴールやサルトルなどの実存主義が好きなので、東京外大の図書館で彼らの本を借りて読んでいます。

今後について

——本学卒業後の進路についてはどのようにお考えですか。

ギターを学びにスペインの音楽学校に留学したいと考えているのですが、この状況なのでまだできるか分かりません。その先についてはまだ特に考えていなくて、とにかく昨日より今日、今日より明日、クラシックギターがうまくなっているように日々練習を重ねるばかりです。
ただ一つ、成し遂げたいと思っているのは父のギター教室を継ぐことです。より多くの人と音楽を共有し、楽しめる場所を作っていきたいです。今まで高校や大学で音楽について勉強したことがないので、専門知識をほとんど持っていません。今後、音楽学校などで専門知識を勉強して、指導者として活躍していけたらと思っています。

——最後に在学生、そして未来の東京外大生に向けてメッセージをお願いします。

クラシックギターの魅力をより多くの人に知ってほしいです。実はそこまで大きな音も出ないため、家で一人でも引くことができる楽器なのです。家にいることが多くなった今、暇つぶしにでもぜひクラシックギターに触れてほしいと思います。

——私も本日お話を伺って、クラシックギターに興味がわいてきました。まずは高田さんの練習動画を見て、クラシックギターの音色に癒されようと思います。本日は貴重なお時間を頂きましてどうもありがとうございました。

インタビュー後記
学生取材班として初めての取材でしたが、とても気さくな方でリラックスしてインタビューに望むことができました。同じ言語の先輩でもあり、スペイン語の先生やスペイン語圏への留学についても共有できる話がありました。最後に少しだけクラシックギターを演奏していただいたのですが、ギターを持つと表情が一転し素敵な音色を披露していただきました。初めて生でクラシックギターの音色を聴き、心を動かされました。今後もより一層ご活躍されることを祈っております。
取材担当:高橋さくら(国際社会学部イベリア地域/スペイン語3年)

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