韓国・洪城(ホンソン)、義犬碑の思い出:パク・シヨンさんインタビュー

犬の説話の伝わる自然豊かな公園「ヨクゼバンシュク」。そこは今回取材したパク・シヨンさんのふるさと、韓国は洪城(ホンソン)にあります。今回のTUFS Todayは「私のふるさと 外大生にインタビュー」企画第2弾。現在パクさんは国際日本学部の2年生ですが、昨年は1年間韓国からオンラインで授業に参加していました。この春から待望のキャンパスライフを送っている彼女は、ふるさとにどんな思いを抱いているのでしょうか。ふるさとの思い出や、日本での出来事を伺いました。

インタビュー・取材担当
  • 言語文化学部ポーランド語2年・山口紗和(やまぐちさわ)さん
  • 言語文化学部フランス語2年・菊谷真理(きくたにまり)さん
    (以上、広報マネジメント・オフィス学生取材班)

——今日お持ちいただいた写真はどちらで撮影されたものですか?

ここは韓国語で「ヨクゼバンシュク」という、湖のある公園です。私の地元であるホンソンというところで有名な説話があるところです。

昔ある農夫が、飼っていた犬を連れて市場へ行ったのですが、その人が家に帰る途中に、お酒を飲んで草むらで寝てしまいました。そこで火事が起こったんですが、犬が水に入り、濡れた全身でその火を消して農夫を助けたという話が伝わっている場所です。その後犬は死んでしまったのですが、農夫がお墓を作ったんだそうです。今も農夫と犬の像が残っています。

——おもしろい説話ですね! ここはどんなところですか?

湖に木の橋が架かっていて、いろんな草木がある自然豊かな場所です。地域の人々が散歩をしたり休みに来たりしています。ここが私の家と近かったので、夜に犬の散歩をしたり、家族と歩きながら話をしたりしていました。友達とお酒を飲みながら思い出話をしたりした、愛情深い場所です。お散歩が好きなので、日本に来てからもよくお散歩しています!夕飯のあと、いろんな話をしながら歩くのが好きです。

——では次に、出身地についてお聞きします。パクさんは洪城にずっと住んでいたのですか?

はい、生まれてから今年の3月に日本に来るまで、ずっと住んでいました。20年ほどですね。今住んでいる多磨は草木が多いので、ふるさとと似ていて恋しくなることもあります。そういうときはふるさとのみんなに会いたくなるので、家族とテレビ電話をしたり、友達と電話したりしています。

——家族や友達と行っていた思い出の場所はありますか?

住んでいたところから車で30分くらい走るとすぐに海に出られたので、よく行っていました。夏に家族と海に遊びに行ったり、親の車を借りて友達と夜に行ったりしていました。

——ふるさとでの思い出の食事はありますか?

お母さんの思い出の料理はキムチチゲといって、キムチと豚肉を鍋で煮る料理です。昔子供の頃からよく作ってくれている大好物です。それだけあればご飯3杯は食べられちゃうくらい大好きです。

——日本での生活についてお聞きします。パクさんはなぜ東京外国語大学に進学されたのですか?

いろいろな国から来る学生が他の大学より多く、彼らとコミュニケーションをする経験を得たいと思ったからです。外国語大学なので、外国語の勉強もちゃんとできるかなと思いました。もともと高校時代から日本に住みたいと考えていて、受験勉強もはじめから日本の大学を目指していました。韓国の大学は考えていなかったです。

——日本に来た最初の日は印象に強く残っているかと思いますが、どのような思い出がありますか。

私は昨年の3月に日本に来たのですが、新型コロナウイルスの感染が拡大したためすぐに韓国に戻りました。今年3月にまた日本の家に戻ってきたら、電気や水道が全部切れていて、暗い部屋で水道局や電気会社に電話をしてはらはらしていました。それに荷物をひとつ成田空港に置いてきてしまって、取りに行くのがとても大変でした。でも、落ち着いて生活できるようになってからは、ひとり暮らしも楽しめて、日本人の友達と会って楽しく過ごしています。

——コロナ禍もあってなおさら苦労されたことが多かったのですね。パクさんは昨年1年間韓国からオンラインで授業を受けていらっしゃいましたが、現在の生活はその時に比べどのように変わりましたか?

韓国でのオンライン授業は目が疲れるし、引きこもりがちだったのですが、日本で対面授業ができて、友達と授業も受けられると、落ち込む感じもなくなりました。授業終わりに友達とおいしいものを食べに行ったりするのが、すごく楽しいです。私は羊のお肉が大好きなのですが、羊の串が食べたいとインスタグラムのストーリーに載せたら、同じく羊が好きな友達を2人見つけることができました。定期的にラム肉を食べに行く会を開いています。

——現在国際日本学部にいらっしゃるそうですが、日本語の勉強以外に何をされていますか?

今年の春学期からフランス語を始めました。ファッション、芸術に興味があって、いつかフランスに行ってみたくて勉強しています。発音がいちばん難しいです。動詞や名詞が男性形・女性形に活用するのが難しいし、複数になるとまた変わるのもまた大変です。

——日本語でフランス語を勉強されているのですね。外国語で外国語を勉強するのは大変ではないでしょうか?

そうですね……文法用語が全部漢字なのが特に大変です。韓国ではほぼ漢字を使わないのではじめは難しかったのですが、同じ言葉がどんどん出てくるのでもう覚えてしまいました。

——韓国は勉強熱心な学生が多いと聞きますが、日本と比較して気づいたことはありますか?

部活の違いですね。日本ではいろんな部活をしていて熱心に取り組んでいる感じがあります。韓国にも一応部活というものはあるのですが、日本のように熱心に取り組んではいないような気がします。むしろ私の周囲では、大学に行くため、書類に書くために参加していた人が多かったですね。私も経済新聞を読む部活に参加していましたが、週に1回、1時間くらいの部活でしたし、試験の期間はあまり活動しませんでした。日本のサッカー部、バレーボール部などのように活動的なものよりは、新聞を読んだり、ボランティア活動をしたりするものが多いです。大学に進学するために部活がある、という感じですね。

——将来はどこで生活をしたいと考えていますか?

日本での就職を目指しているので、日本に住みたいと思っています。PRや広報に興味があるのですが、学校の掲示板にファッション系のPR会社のアルバイト募集を見つけて、夏からそこでアルバイトしています。

——あなたにとってふるさととは?

あたたかい場所です。ふるさとにはいい思い出しかありません。家族、友達と過ごした時間が思い出されて、幸せな気持ちになります。

編集後記
ふるさとの家族やお友達のことを話すときのパクさんの笑顔はやわらかく、生まれた時から住んでいたふるさとを心から大事に思っていることが伝わりました。日本の大学を受験したり、来日後にアルバイトを始めたりと、興味関心に率直に行動している姿が素敵でした。コロナ禍で被った困難を乗り越え、日本で夢への一歩を踏み出すことができ、本当によかったと感じます。パクさんはキムチチゲが大好きだと聞き、本場の味がどれほど辛いのか尋ねると「私は辛いと思っていないんですが……」と首をかしげていました。
取材担当:菊谷真理(言語文化学部フランス語2年)

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