コピー機を使う前に

図書館にもコピー機が設置され、図書館内でコピーをとることができるようになりましたが、図書館でコピーをとるときに気をつけなければならないことがあります。

それは「著作権」についてです。

人間の知的な創作活動から生産されたものに対する権利を総称して「知的所有権」といっています。
著作権は知的所有権の一つです。著作権は自分の考えや感情を小説、絵画、論文、脚本、彫刻などに表現した時にそれをおこなった本人に自動的にできる権利です。
著名な作家はもちろん、幼稚園でおえかきする子供から論文を書いたり講義をする可能性のある学生・教員は全て潜在的に著作権を持っているといえます。

著作権は、

イ.その著作を創作した人のプライドを守る権利
ロ.金銭的利益を守る権利

の2つに分けられます。

イ.はたとえば自分の作品を勝手に手直しして発表されないこと、ロ.はそれによって得られるはずの利益を他人に横どりされるのを防ぐことを目的としています。

図書館での複写に関する制限はロ.を守るために定められています。
著作者の得るはずの利益を厳密に保護するため、他人の創作物を使用引用したりすることに対しては著作権法で厳しい制限が設けられています。
しかし、あらゆる場合において著作物の使用を制限していると、他人の作品の引用が必要不可欠な評論家などは仕事が成り立ちませんし、著作物を利用することによっておこる文化の発展を阻害してしまう可能性もあります。
そこで著作権法ではある程度著作権を制限して、著作者の許諾なしに著作物を利用できることを定めています。

図書館における複写が許されるのは、この条文にもとづいています。
しかし著作権は守るのが基本ですから、その複写にも制限があります。
著作権法および著作権法施行令・著作権法施行規則の図書館における複写に関する条文を総合すると、次のようになります。

  •  コピーの目的は利用者の個人的な調査研究のためであること。
     コピーしたものを売るためにコピーすることはできません。
  •  図書館のコピー機でコピーできるのは図書館の資料のみ。
     自作の授業用レジュメなどはコピーできません。
  •  コピーできるのは資料の一部です。丸ごと1冊コピーすることはできません。
     「一部」というのは一般的に1/2以下と解釈されています。
  •  コピーできるのは一人につき一部です。
     授業での発表用のプリントとして資料の一部を複数枚コピーすることはできません。

将来論文を書くような職業に就かなくても、就職して会社に入ってから書くようなレポートに至るまで著作権はついて回ります。
普段から注意するよう心がけてください。