2018年7月23日(月)から27日(金)にかけ、15コマ(1コマ=90分)からなる集中講義「国際日本学」が行われました。日本についての知識を深めてもらうためのもので、理解度を高めるためロシア語での授業を提供しました。日本をテーマに、ビジネス・経済、国際政治、日露交流史、文化(伝統芸能等)の領域をカバーしています。この講義には本学のロシア語専攻学生にも門戸を開きました。これにより、(難しいものの)日本にいながらロシア語の本格的講義を聴くことができ、自国について改めて関心を持ち、ロシア語でどう説明するかの学習の場となりました。さらに日露の学生とのグループワークもあり、タンデム学習に続く交流の機会ともなりました。
初日である23日は、新井滋(本学特任教授)が、ロシア語でこの講座のガイダンスと本学の沿革、そして世界展開力強化事業について説明しました。それに続いてポダルコ先生(青山学院大学教授)が日露交流史を講義しました。この講義では、日露両国の人的交流の歴史が扱われ、時折日本と他の外国との二国間関係と比較しながら説明が行われました。日露交流が日本の外交関係でどのように位置されているかということを、他二国間関係との比較や豊富なスライドの説明によって学生たちは理解を深めることができました。
24日はイスマイーロフ先生(本学非常勤講師)の講義が行われました。この講義は「日本が世界をどのように見ているのか」というものでした。先生から日本外交政策のガイドラインが説明され、それを基に日露の学生がグループごとに議論し、それを皆の前で発表するという授業形態が取られました。
25日は企業訪問が行われました。詳しくは「企業訪問」のレポートをご覧ください。
26日はグレチコ先生(本学非常勤講師)による日本の伝統芸能に関する講義が行われました。能や歌舞伎が主に紹介され、実際の演目や舞台装置、衣装の説明が映像資料と共に説明されていました。我々日本人でもわかりにくい能や歌舞伎も、舞台装置やそれを利用した演目、またはお面による演じられる人間の心象を知ることができたので、実際に訪れて観劇したいという学生がいたようです。
27日はストノーギナ先生(明治大学特別招聘教授)による「日露ビジネスカルチャー」の講義が行われました。実際に日露経済協力の現場で働かれている観点から、「対露経済協力8項目」など、いくつかのキーワードでこの協力関係を説明しました。また、日本が推進すべき対外経済戦略もお話しされたので、対日ビジネスを志そうとするロシア人留学生にとって非常に有益でした。
最後に新井特任教授が(ロシア語で)日本の多国籍企業の概要とそのロシア市場への進出事情を具体的なケーススタディ方式で解説しました。
一日企業研修
「国際日本学」の一環でロシア人学生らは一日企業研修を行いました。25日の午前中、学生らは国際通貨研究所を訪問し、阿南鉄朗氏による英語の講義を受けた後、三菱UFJ銀行のディーリングルームを見学しました。講義の中では東京銀行の前身・横浜正金銀行が日本の経済発展において果たした役割について歴史的背景を踏まえたお話がありました。学生からは、日銀が実施するマイナス金利政策の影響について質問があがるなど、活発な意見交換の場となりました。
その後、学生らはNHK放送センター(渋谷)を訪問し、国際放送局多言語メディア部職員による事業紹介、および報道番組「NHK WORLD RADIO JAPAN」の紹介を受けた後、ロシア人放送専門家A・モナコワによるレクチャー「ロシア人ジャーナリストの目で見た日本」を受けました。次いで放送センターに隣接する「スタジオパーク」内の「ふれあいスタジオ」で番組収録「リスナーと共に:日本の夏」(7月29日オンエア)に参加しました。ゲストとして参加した学生らは日本の夏について新鮮な印象をロシア人アナウンサーらと共有しました。学生らが日本放送協会を訪問した様子はラジオ番組「モナコワ・レポート:ロシア人学生を紹介」(8月19日オンエア)で詳しく紹介されています。