舞台芸術サポートインターンシップ(モスクワ・ペテルブルク)実施(2018年6月)

2018年6月1日(金)~ 6月7日(木)
モスクワ及びペテルブルクで(有)名取事務所様のご厚意により、舞台芸術をサポートするインターンシップを実施しました。

名取事務所は1996年に設立された、演劇、舞踊制作を目的とするプロデュース会社です。これまで名取事務所は別役実をはじめとする現代劇作家の作品を世界各地で上演したほか、東洋、西洋を問わず、海外の劇作家を次々と日本で紹介しました。ロシアからはM・ブルガーコフ、N・プトゥーシキナ、N・サドゥール、A・ヴァンピーロフ、A・アルブーゾフなど、いずれも20世紀のロシア演劇を代表する作家たちの作品を翻訳・上演しました。また、イプセン作品を日本に紹介することを目的に国際イプセン演劇祭を東京で定期的に開催、国内外から注目されています。近年では事務所が制作した作品「屠殺人ブッチャー」(作:N・ビヨン、演出:小笠原響)が読売演劇大賞と紀伊国屋演劇賞の計6部門で受賞するなど、日本の現代演劇をリードするカンパニーとして高い評価を得ています。

今回のインターンシップは文化庁の助成を受けた名取事務所の海外交流シリーズ第7作目「象」(作:別役実、演出:真鍋卓嗣)のロシア・ツアーにおける通訳サポート業務です。この海外ツアーは日露両政府が推進する二国間文化交流プログラム「ロシアにおける日本年」に承認され、ロシアでも広く認識されました。作品はペテルブルグのトフストノーゴフ記念ボリショイ・ドラマ劇場(6月2日、6月3日)とモスクワのライキン記念舞台芸術大学(6月6日、6月7日)の舞台で上演されました。

今回のインターンシップに参加したのは、モスクワとペテルブルクのそれぞれの都市に派遣留学中の本学学生1名ずつでした。学生たちは事務所スタッフとロシア側の劇場スタッフの間で音響、照明、舞台製作上の業務に関わる通訳を行ったほか、観客からの感想やコメントを日本人スタッフに通訳するなど、現場で活躍しました。

以下、参加した学生たちの感想です。

- 文化関連で通訳として働かせてもらえるインターンシップが初めてだったので、とてもいい経験になった。一つ目に重要だと思ったのが通訳としてのスキルで、やはり通訳として仕事に臨む時は専門用語を学んでから取り組まないと誤解が生じたり、正確に訳せないのだというのを身にしみて感じた。二つめに勉強になったのは演劇の奥深さだ。たとえ言葉は違えど役者の演技や感情の見せ方によって劇そのものを深く理解することができるし、こういった文化交流によって日本をより身近により深く知ってもらえると思った。

- プロ通訳、また演劇に携わる人々の仕事現場を間近で見ることができる大変貴重な経験になった。ロシア語を生かす職業に出会うことはなかなか難しいと思っていたが、ロシア語を話せる人材の需要を肌で感じ、外国語を学ぶ意義を改めて考えさせられた。また、日本人ロシア人さまざまな人々と関わったことでコミュニケーションの大切さと楽しさを実感できた。

*インターンシップ実施概要

実施日時:2018年6月1日(金)-6月7日(木)
実施場所:トフストノーゴフ記念ボリショイ・ドラマ劇場(Emb. Reki Fontanki, 65, St. Petersburg 191023, Russia)、ライキン記念舞台芸術大学(Sheremet’yevskaya st., 6, Moscow, 129594, Russia)
名取事務所ご対応
代表取締役・名取敏行Mr. Toshiyuki Natori, President of Theater Office Natori, Tokyo
参加者2名: 谷平 早希子(サンクト・ペテルブルク)、三部 綾香(モスクワ)